摩訶不思議カテキンスポーツ

 伊藤園という会社は、なんか面白いことをやってくれる。私が最初にそう思ったのは、BSで見たシティボーイズのライブで、伊藤園の缶茶にある俳句をからかったネタを見たときだった。「伊藤園、俳句載せるな量増やせ」だったか。確かに変である。缶に俳句を載せようなどと、普通の会社が考えつくだろうか。最近でも、ペットボトルで買った「おーいお茶」に、高校生の部大賞として「田舎では星が降ります頭上注意」というのが掲載されていた。私にはこれが大賞をとるべき作品とはどうしても思えないのであるが、あなたはどう思われるか。

 私にとって、最近一番のヒット商品がこの伊藤園「カテキンスポーツ」である。緑茶の成分で体にいい(らしい)カテキンを配合したスポーツドリンクという触れ込みである。カテキンという押しの強い原料が入っている割には、半透明で、見た目も味もありふれたスポーツドリンク以外のなにものでもない。
 つまり「カテキン」で「スポーツ」であるというネーミングのままなのだが、この飲みものの真骨頂は味よりもそのパッケージにある。


カテキンスポーツ

側面の効能書き

 まずは効能書きをじっくりと読んでいただきたい。なかなか味わいのある四コマ漫画である。

 一コマめ「活性酸素はさまざまな要因で増えるといわれています」。
 二コマめ「緑茶成分[緑茶カテキン]の登場です」。
 三コマめ「[緑茶カテキン]の活躍が期待されます」。
 四コマめ「[緑茶カテキン]を配合したアイソトニック飲料」。

 なんらかの原因で増えると言われている活性酸素に緑茶成分の活躍が期待できるのだそうだが、なんといい加減な文章だろうか。活性酸素が増えるとなぜ駄目かわからないし、期待するのは勝手であるし、活躍と言ったって、退治するとは限らないのである。どうもこれを読んだだけでは、「カテキンって効くんだなあ」とはどうしても思えないのだが…。状況によっては体に悪いなんてことはないのだろうな。

 容器の開け方がまた厄介なのである。まるで豚カツソースのように、いったんキャップを外して、内栓をとってからキャップを戻し、あらためてキャップを開いて飲まなければならない。どうしてこうでなければならないのか、納得できる理由がみつからない。面倒であるうえに、内栓を取るときにどんなに注意していても必ず中身をこぼしてしまう。
 加えて、この一連の作業にはなにか台がないと非常に面倒である。屋外では開けにくいパッケージなのだ。スポーツドリンクなのに。


パッケージの「ボトルの開けかた」

キャップを外して、内栓を出したところ

内栓を外したところ。案の定中身を少しこぼしてしまった。

これが飲む状態。複雑である。

 飲むときは、このようにキャップを半分引きだす。要するに台所用洗剤である。これだけ複雑な機構を採用するのだから、普通はこの方法に使い勝手の面でよほど優れたところがあるのだろうと思う。ところが、これが飲みやすいかというと、そうではないのだ。まず、このまま口につけて傾けても、中身は素直には出てこない。始めの一口分はすんなり飲めるのだが、そこから先は容器を手で押して圧力をかけてやらなければ出てこなくなってしまう。結局圧力を調整しつつ、ゆっくりゆっくり飲んでゆくことになる。

 さらに恐ろしいことに、容器の横に次のような但し書きがある。

「容器の特性上、口内に食べ物等があると、液と共にボトル内へ流れ込んでしまうことがあります」

 うええ、気持ち悪い。そんな欠陥があるなら、こんなボトル、やめたらどうか。というよりも、なんの利点があって、このボトルなのだろう。

 まあ、実際のところ伊藤園としては、ちょっと変わった容器を採用することで、たくさんある他のこの手の飲料との差別化を図ったということなのだろう。というわけで、まんまとしてやられた私であるが、あなたもぜひ一度この「カテキンスポーツ」を試して、私と一緒に物悲しい気分に浸って欲しい。関東限定かもしれないのだが。

 書いた後で、伊藤園には他に「カテキンウォーター」という飲み物があることが判明した。早速試してレポートするので、お楽しみに。「こんなバカ飲料があります」というタレ込みもお待ちしております。


 (98.7.21追加)「カテキンウォーター」レポートはこちら
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