出せなかったファンレター

 「弱パンチ連打」「下手な機関銃空に向けて掃射するので当たらない」と一部で呼ばれている「大西科学における最近の研究内容」。筆者のジャッキー大西でございます。あいや、おっしゃりたいことはよくわかる。確かに「弱パンチ」だけど「連打」じゃないよなあ、とか「下手」で「空に向けて掃射」しているけど「機関銃」くらい更新頻度高いかい、と唖然としているあなたの顔が目に見えるようです。あう。すいません。うあ。申し訳ない。今月は二日連続更新などということをやったおかげでもう足腰がガクガクです。慣れないことはするもんじゃありません。自分のペースが一番。マラソンの途中で突然ダッシュするなんて変なやつに思われます。

 さて、ご覧の通りのこんなページではありますが、去年の四月に開設して以来の積み上げた歴史が1と半年。時々止まったりゼロに戻ったりして私のクモ膜に悪影響を及ぼしているアクセスカウンターも五万を越えてしまいました。五・〇掛ける十の四乗。十六進数でC350です。C3POとちょっと似ていますね。「ファントム・メナス」ご覧になりましたか。C3POが「通訳ロボット」じゃなくて「プロトコル・ロボット」と字幕に出ていたのが噴飯ものでしたね。「字幕の人」は、なんだと思って翻訳をしているのでしょう。他にも「義勇軍」が「ボランティア軍」と書かれていたりして、分からない単語はとりあえずカタカナで書いておけ方針がよくわかる字幕でしたよ、ホントにもう。

 おっとっと。皆さまにお礼を申し上げるつもりがなぜかこうなってしまいました。「日本語字幕:戸田奈津子」さんの悪口を言っている場合ではありません。このようにアクセス数を積み上げることができましたのも、ひとえにこの「弱パンチ」ないし「空に掃射」サイトを訪れて下さっているみなさまのお陰でございます。ありがとうございます。これからも許してください。いろんなことを。

 こうして一年半続けておりますと、私のようなサイトにもお手紙を下さるかたがいらっしゃいます。電子メールでぽいと送れば着いてしまうネットの世界ですから、実に気楽にお出しいただける時代だとは思うのですが、やはりここで物を言うべきは人と人のつながり、相手に捧げる自分の時間、心遣いの量で測るべきものでありましょう。そんなわけですから、わざわざ私ごときにメールをいただけるというのは、それだけで相当好意をいただいている印でありまして、いただくメールはだいたい好意的な内容であります。お礼の意味を込めて、手元に来ております手紙を読んでみることにいたしましょう。そのままを引用しますとそうとうあれですので要約いたしますが、
「全体的にじわっとなんとなく面白いときもあるので楽しみにしています」
 うんうん、本質であります。私のサイトの極意であります。じわっと面白い。ああ、見抜いて下さっています。
「あのサイトに比べるとまだまだだが、面白さの片鱗は見られるので精進を怠らないように」
 くう、わかるわかる。サッカーをやっている私をグラウンドの外から「サッカーで有名な中学のスカウト」が見ております。彼が言うような言葉であります。片鱗。ああ、この手のマンガでは「やっぱ片鱗だけだったわ」などということはないので、妙に確信ありげな言葉に見えます。精進しますよ。頑張りますとも。主人公はサッカー特待生にはなれないもんですけどね。
「一獲千金のチャンスをお知らせします。指定の住所に二千円送ると、あとはもうウハウハです」
 にはあ。私のサイトを気に入って下さっただけではなくて儲け話まで紹介して下さるなんてなんていい人でしょう。菩薩だ。神だ。さっそく二千円送付させていただきました。でも、その後音沙汰ないのはどうしたわけでありましょうか。やっぱり菩薩じゃなかったのか。

 などというのは嘘ですので、私にスパムなど送ってこないように。しかしなんで「新しいブラジャーの紹介」などというメールが来るんでしょうな。いらんちうねん。つうか、私が女性でもそんなトコから買うか。ええと、それはともかく、これが「取り扱い商品」にいただくメールとなるとちょっと辛口になります。
「これこれの商品のここのところが間違っているから直しておくように」
 す、すいません、確かに間違っているんですけども、それを直すと商品の根幹がその。間違えているんじゃなくってごまかしているんですってばあ。あっ、や、本当に間違っているところもあるんですけどね。家庭用電源50MHzとか。
「この商品は実用化されているのですか、見積もりを下さい」
 ありませんありません。どこの世界に物干し気球がありますか。わかりそうなものでしょう。新聞読みなさい新聞。
「この商品について周囲に話したらフカシ野郎とののしられました。このままでは学校に行けないので責任をとって下さい」
 嘘つきと言われたくらいがなんでありましょう。それでこその高校生活ではありませんか。あなたには私の好きな言葉をお贈りいたしましょう。「泣いたり笑ったり、はみだしたり浮かんだりグッときたりすればいいさ。特にはみだせ!」。エキス=パンダーX(仮名)という人の言葉であります。ウォンチュウ。

 まあ、こういうのは感想というより質問というべきでありましょう。質問。学生時代、ちゃんと分からないところを先生に質問していらっしゃいましたかみなさん。授業でこそありませんが、研究発表なんかをしている身になると、この辺は「感想メール下さい」というサイトとおんなじだと思うのですが、一番堪えるのが「発表が終わったのに質問がない」。これであります。こういうときは座長がなにか質問をしてくださるのですが、それすらもない場合というのは相当わけのわからない発表をしてしまったときです。授業もおんなじです。あれは実は励みになることです。いい質問なら授業の助けですし、トンチンカンな悪い質問でも自分の授業内容への反省になります。まだ学生のみなさん。何でもいいから質問したほうがいいと思いますよ本当。

 しかし私は質問しない人間でした。他のサイトへもファンレターというのはほとんど書いたことがありません。なぜかとつらつら考えると、やっぱり中学の時の、家庭科の先生の影響が大きいのではないかと思うのです。この先生、新任の女性の先生だったのですが、とにかく質問されるのが嫌いでした。あるとき、家庭に来ているガスの種類と性質、というような話で、先生はこう話されました。日本の家庭で使われているガスは、大きくわけて三つあります。LPガスと都市ガスと天然ガスです。

 私はそれを聞いて思ったのです。LPガスはもとをただせば石油です。リキッド化されたペトローリアムなんですから。註。ペトローリアム=石油。註終わり。天然ガスというのはそれとはちょっと違います。ガスのまま湧いてくるのです。では、この二つは違うものだとして、都市ガスはどっちなのか。どっちかであるはずなのです。原油起源か、ガスとして出てくるものか。私は手をあげて、質問しました。
「先生、都市ガスは、LPガスか、天然ガスか、どっちなんでしょうか」
 確かに、良い質問ではありません。正しく言い換えるなら「都市ガスはLPガスと同じように、石油から作られているんでしょうか」でしょう。しかし、先生の答えはもっとヒドかった。
「どっちということはありません。私が言ったように、LPガスと、都市ガスと、天然ガスという三つのガスがあるんです」
「いやでもほら、どっちかのはずでしょう。石油から作るのか、天然ガスなのか」
「ちがいます。三つあると言ったら三つあるんです。教科書にもそう書いてあるでしょう」
 私は長い学徒としての人生で、これほどひどい教師にあたったことはかつてありません。教科書に書いてないから質問しとるんじゃないか。さらに噛みあわない問答を続けるうちに、この先生「ああもう、授業が進まない」と地団駄踏みはじめて、ぷいと職員室に帰ってしまったのです。まわりの生徒は大喜びでしたが、私は悲しかった。本当に知りたかったのです。都市ガスの正体がなにかを。

 というわけで、今回は、質問や感想はなるべくしたほうがいいが、相手を選ぼう、というお話でした。というか、書いているうちにそうなってしまいました。大西は帰ってしまったりしませんので、ぜひ感想を下さい。いつでも待ってます。心から待ってます。ちなみに、都市ガスの正体はまだわかりません。阪急千里線の「北千里」駅の手前にある巨大な球形のガスタンクの、その下のところからくみだしているんじゃないかなどと思っているのですが、違うんでしょうか。


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