「大西科学における最近の研究内容」400回記念

第四回「大西科学研究賞」大賞発表

 ありがとうございます、ありがとうございます。まずはこれを御覧になっている皆様に御礼申し上げます。大西科学のジャッキー大西管理人でございます。五月半ばから六月にかけまして、みなさまにお付き合いをいただきました極悪自己中心マンネリ親知らず企画「作品人気アンケート」の結果がようやくまとまりましたので、謹んで発表させていただきます。

 今回の投票は実に94人の方からいただき、皆様にいただきました一票一票を、また書いていただきましたコメントの一行一行を、たいへん嬉しく、興味深く読ませていただきました。家族を捨て、仕事をないがしろにし、私財をなげうちまして実施しましたアンケートも、いや一部誇張ですが、これだけの反響をいただきましたら管理人冥利に尽きます。本当にありがとうございました。

 さて、せっかくいただきました投票ですので、正しく集計しなければなりません。投票の集計法として採用いたしましたルールは以下の通りです。
  一。五つか、または五つより少ない数の作品について投票をいただいた場合、各作品に1点を与えます。
  二。六つ以上の作品について投票をいただいた場合、各作品の合計が五点になるように分散して加点します。
これはたとえば、投票時のチェック数が十の場合は各〇・五点、二十の場合は各〇・二五点ということです。今回は最高四一作品に投票して下さった方がいらっしゃいますので、この方による得点は各々約〇・一二二点ということになります。

 ということで、さっそくではありますが、以下結果を一位から順に発表させていただきます。


#381.ジョン平とぼくと
 魔法が存在する世界における科学の徒を描いた、このフィクションが、今回のトップになりました。得点は23.51点、およそ四人に一人の割合での支持をいただいたことになります。
 実は、この話に関して言えば、どうしてこういうものを書こうと思ったのか、あまりよく経緯を覚えていません。「ハリー・ポッター」と張りあうため、ではなかったと思います。
 ただ一つ確かなのは、この話を書く少し前に見たテレビに「ボブぞう」という犬が出てきたことです。「今日のわんこ」とか「ポチたま」とか、いずれそのあたりですが、この「ボブぞう」なる響きにすごくウケて、この手の「英語名+日本語名」をいろいろ作ってみたのです。「サム郎」「フランク夫」「キャシー子」。…なんだか、今書いてみると、どうしてこんなことでウケたのかイマイチ思い出せませんが、とにかくそういうわけで、ジョン平は生まれました。将来犬を飼ったら本当にジョン平という名前にしようと思っています。

#363.ひとひらの雪
 二位は「静子の海」の続篇となる、このお話でした。得点は21.52点。お知らせ集を読んでいただけるとこのあたりの経緯がわかりますが、前作に続きこの文章も「雑文祭」にのっとって書いたものです。
 ある種の制限下で書かれた、しかも続篇がこれだけ高順位を取るというのは正直言って意外だったのですが、生い立ちからして、初めて私のサイトを訪れる方が目にする確率が高い文章であるということは言えるかもしれません。実はこれは三部作になる予定で、次に何らかの「雑文祭」に参加するときは、今度は木星の衛星軌道が舞台の、静子とその娘が登場する話になるはずです。…というのは冗談ですので、本気にしないでください。調子に乗るんじゃないよ私は。

#398.ジョセフる
 19.36点の第三位は、全国の荒木飛呂彦ファンに絶大な支持をいただきました(推定)、この話です。なんだかこれだけに投票された方が何人かいらっしゃいまして、そういうデルタ関数的な好まれ方をしております。
 文中に書いた通り、テレビ相手ならこれを試みて高い確率で予言を成就させることは実際に可能なのですが、だからといって本当にこれをやりますと、周囲にまず確実に「いやなやつ」「うるさいやつ」というイメージを抱かれてしまいます。でも、たぶん、漫画に登場するジョセフ本人からして、周りからはそう思われているに違いないですね。であれば本望。

#305.なぜ私の財布には「ツユダク」シールが貼ってあるのか
 四位は、今となっては懐かしい高円寺時代のこのお話でした。得点は18.22点です。今や最寄りの吉野家は車で十五分くらいの距離にありますから、こういうわけにもちょっと行きません。しかし、考えてみればそれが普通なのであって、あくまであれは異常な街なのではなかったかと、常々思っているところです。何度も言うようですが、自炊意欲をそぎ、人を駄目にする街であったと。
 これを書いた直後、妻から「もらった牛丼はどうしたんだ食べちゃったのかどうして私にくれないのだ」とずいぶん責められました。そして、実は今でも私の財布には「ツユダク」シールが貼ってあります。

#373.喜びの声
 一発アイデアがすべて、という気がしますが、二度とは書けないこれが17.13点で第五位でした。一発というのも、なにしろ思い付いてから完成までに二時間くらいしかかかっていませんが、これはほぼ私の限界のスピードです。こういう凄い(と自分でいってはいけませんが)アイデアがどんどん出てきたらいいのに、と思うのですが。

#360.眠る図書館
 こちらは半フィクションで、半分が実際にあった事を書いたものです。六位で15.07点でした。私も「ちょっとした本好き」だという方にかなりの支持をいただいた感触がありますが、欲しい本をいくらでも、自分の家のスペースなんて気にしないでもらって来れるというのは、かなり理想なんではないかと思います。でもそれって要するに「図書館に勤務している」という状態なのかも。私も図書館に就職したら良かったです。

#367.ラン・山田・ラン
 得点15.03、僅差で七位に走り込んだのは山田さんでした。私の場合、文章のタイトルは、書いている途中にいくつか考えておいて、いいものを選ぶという形を取ります。サーバにアップロードする寸前に思い付いて直すということも少なくありません。しかし、これに関してはもうタイトルがすべて、思い付いた瞬間にこれで話が一つできた、と思ったほどです。ただ、もともとが少しマイナー目の映画のタイトルなので、しばらくすると誰も覚えていなくなる可能性があって、それだと効果が半減してしまう気もします。

#347.カレー皿の上の夏休み
 上の#373あたりと並べてみると「どうも大西は競馬を憎悪しているのではないか」という気がしてくるのですが、別にそういうわけではありません。勝馬君の登場するこの話が八位です。得点は13.46。
 文中の「古いニッサン車」というのは、リニューアルする前のマーチをイメージしているのですが、今やあの斬新でキーを差し込んだりしなくてよくエアバッグが六つもついており、さらにメールを読んでくれたりもする新型マーチをあちこちで見かけるようになりました。しかし、あんなに新旧差があると、たとえば「マーチでドライブに行こう」と誘われて、古いマーチだったらすごくがっかりすると思いませんか。

#358.兵站こそ兵なり
 九位にしてやっと、フィクション性のない普通の話が出てきた感じがします。11.56点を取りました。
 この話で書いた「とにかく文房具は過剰に買う」という方法は、最近、一つの大きな欠点があるのではないかと思えてきました。たとえば、そこら中に消しゴムが転がっている状態の場合、よちよち歩きの子供がいると大変危険なのです(食べちゃうから)。やっぱり、整理整頓にしくはありません。

#330.招く猫
 10.51点で十位を確保したのはやはりフィクションものでした。下条さんの「猫」に対する猫側弁護人、護猫官ピートの発言です。
 この話を書いてすぐ、おそらくは私のサイト以外見ていないだろう母から「いい話だった、こんなのまた書いてね」というメールをもらいまして、それは難しいんではないかな、と思いました。

#331.トンカツ教設立建白書
 トンカツへの歪んだ愛を書いたこれが十一位でした。10.35点。
 医者にはそんなに厳格には禁じられてはいないのですが、そもそもいくらか体重を減らす必要がある私は、一年に数回「カツ券」というものを発行し、食べるためにカツ券を消費するという形で厳しい自己管理を行っております。誕生日やボーナス時など、かぎられたお祝いの時にしかカツ券の発行は許されません。私が立ち去った後のトンカツ屋には、なぞの紙片が残されていることと思いますが、つまりそういうことなのです。ところで、現在のカツ券の残りは、マイナス2枚です。駄目じゃないか。

#384.能力値について
 奇しくも「二百回記念アンケート」のときの順位と同じで、十二位は「ワンガイ」ものでした。ここからは一桁の点数、9.93点となります。ミカグラ一二八はすでに生産中止となっているハードですが、ファンなら中古屋を巡ってでも手に入れたいところです。今夏には「一二八」最後のアクション対戦格闘RPG超大作「超光速流スピードマン外伝/USJのスピードマン」も出ます。いやほんと。

#392.百円の大地
「縮尺もの」なのですが、地図の縮尺を高度方向に適用する例は珍しいかと思いついて、書いてみました。十三位、9.83点。「トイレに地図」というのは、本当にすばらしいアイデアなので、みんなぜひダイソーに行って地図を買って下さい。問題は、しかし毎日まいにちなので、もう私は茨城の地図には飽き飽きしてきたということです。ワールドカップはチャンスだったのに、世界地図に貼り換えておけばよかった。

#379.その黒いものはなんだ
 一四位で8.21点、えびせんモノです(そんなものはありません)。文中、後になってみるとよく分からない例がいくつかあるのですが、
  大陸 ⇒ 何万年もかけて移動している
云々というのは、国民の科学知識の多寡を調べた、でもって日本人の点数がやけに低かった、そういうアンケートがあったのです。一方、
  変えれない生命保険 ⇒ ザ・ベクトルじゃない
というのは、生命保険のコマーシャルでした。「生命保険ザ・ベクトルは変えられる」(それがどういうことなのか私はよく知りませんが)という代わりに対偶を扱っていたのが面白かったので、取り上げてみました。「変えられる生命保険はザ・ベクトル」というのは、逆で真ではないのですが、でもよく言いますよね。「チョコレートは明治」とか。

#385.宇宙
 私の娘の誕生日に書いた文章です。十五位で8.08点取りました。生まれたのが午前二時前で、その後もいろいろあって、長いながい一日のあと、やっと夜に一人部屋に帰ってきてから、書きました。既によく知られたことを書いた、私自身のアイデアがあまり入っていない文章ではあるのですが、生命の誕生ということに感動を覚えてくださった方に選んでいただいたのでしょう(ありがとうございます)。

#308.ヒーローはそこにいる
 7.63点で十六位。書いた当時、これに関してはまったく反響がなかったような気がします。今回いただいたアンケートの中のコメントでも、これに触れた方はあまりいらっしゃらず(ゼロだったかも?)、なぜそれなのにこれがここへ来て十六位に入るのかよくわかりません。地味だけどいつもそこにいるクラスメートのような感じ。ところで、液晶テレビは、サービスマン以外でも開けて構わないんでしょうか。プラズマテレビについては、勝手に開けると中からプラズマがもわもわと出てきて「三つの願いをかなえよう」と言ってくれそうな予感がします(非科学的)。

#395.ふゆのロケット
 タイトルはあさりよしとお氏のコミック「なつのロケット」のパロディです。この文章が第一七位で、得点は7.47点でした。SFにもファンタジーにも踏み込まず、かなり淡々と書いただけなので、どうかな、と思いましたが、十七位に入ったという事は、いちおう気に入っていただけたということなのだと思います。ありがとうございます。
 そういうわけで、これ全体が「本当にあった事」だと思っても特に矛盾はないのですが、それでも読んだ母から「落ち込んでるのと違うの」という電話がかかってきたのは驚きました。お母さん、あなたは私が最近故郷に帰っていないという事を、知っているはずでは。

#317.一六奪三進法
 一八位になります。7.18点。タイトルの「三進法」はいいのですが、これが「(一試合)一六奪三振」との間でシャレになる(つまり、一五でも一七でもなく「一六奪三振」である)理由を忘れてしまいました。野茂だか井川だかが作った記録だったと思うんですが。
 しかし、二千円札はその後また見かけなくなってしまいました。普及させるなら、させればいいのに。

#307.天の梯
 6.89点、十九位はこれでした。「王様のブランチ」は土曜日ではなくて日曜日に放映している番組だということにはずっと気がついておりまして、だからしてこれはいつか何らかの形で直さねばならないと思っているのですが、誰にも指摘されないので今ここでカミングアウトすることにします。ごめんなさい。単なるミスと不精です。でも、ここでこういうことを書くと、ますます直せなくなってしまいました。

#326.幽霊退治人
 二〇位になったのは、このフィクションでした(6.81点)。多分このころに「ミーム」という言葉を覚えて、使ってみたくてしょうがなかったんじゃないかと思いますが、はっきり覚えていません。誰かが「日本では蔵の壁に紙を貼って鍵とする。泥棒は神璽に恐れをなしてあえて破かない」という話を書いていて、これもこの話で書いたのと同じ「情報に力がある」状態なのですが、ちょっと日本人を買いかぶりすぎかもしれません。でも差し押さえの「赤紙」だったら、その通りのものです。

 以下、参考までに、二一位以下を得点順に並べておきます。#387以降が得点2以下、#397以降が得点1以下だった文章になります。たいへん票が分かれました。
#386.取っ手をお持ち下さい
#336.新庄剛志二四三打数六九安打
#350.文章題は歌う
#366.どこかで何かが溶けている
#369.四次元の怪盗
#319.更新履歴
#341.空腹の演説
#364.涙のディレードスチール
#323.出版目録
#390.ほっとスワップ
#310.ダブルミーニング
#318.不確かな期待
#311.私のパソコン
#304.世界のはじまり方
#372.病院の思索
#382.辞書の効用
#348.テンプレート
#333.たまさかの放射線
#362.ニッチに生きよう
#344.うなぎさがり
#388.敵の賀状
#312.噛まないで溶かして
#380.犬と歩けば
#355.バッタは壁を登るか
#387.インとヤン
#356.長い眠り
#337.ツボのツボ
#371.休肝日はいつも明後日
#376.蹉跌(前篇)
#393.赤ちゃんの引き出し
#322.愛するということ
#340.開かない扉
#324.バナナ問答
#391.三月の風
#374.適応の果て
#394.通信販売通信
#334.お茶の進化学
#345.ティーカップの中の哲学
#346.人生の定理
#343.水まく夏庭
#400.週刊連載の憂鬱
#389.名付けの秘義
#338.エンゲルの弁明
#332.温泉にて
#314.大単略
#378.えもじが
#397.薬がない
#396.ラジオを聴く
#351.自然が呼んでいる
#377.蹉跌(後篇)
#301.チョコボール結晶学
#368.ある試練
#315.オールト雲の彼方に
#361.しっぽは何にも言わないけれど
#349.うれしさの限界
#342.線上にかける橋
#321.一緒がいいね
#313.はんかくせい
#320.勝利に貢献
#359.テーマはV
#306.オーバーキル・クロッシング
#329.試してガテン
#353.生まれも育ちも
#357.フリップフロップ
#383.頭の天辺に
#335.似ている二人
#309.健康の価値は
#365.リプライ
#325.注文の多いラーメン店
#327.ツーとカ−
#352.忘れたお弁当と愛は私を救う
#399.いちげんさんが通る
#302.宇宙の小石
#328.広い道路の端を歩く
#316.小指の記憶
#339.裏側に何かがある
#303.電波の鍵
 以上で、九七位までということになります。今回は、投票がまったくなかった回がたった三つということになりますが、読んでみると確かにしかたなし、という気もします。それが何かは、秘密です。

 というわけで、以上、投票結果を発表させていただきました。投票をいただきました皆様に、重ねての感謝を申し上げます。今後とも、とりあえず五百回を目指しまして、喜んでいただけるようなものを書いて行きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


おまけ

 もののついで、という言葉があります。本当に大切な物事はなにかのついでに行われる、という意味ですが、今回のアンケートも、実はこちらが真の目的であるところの「おまけアンケート」を実施いたしました。嘘ですが、結果を発表させていただきます。もののついでですので。

●「大西科学」についてあなたが抱いているイメージは、どれに一番近いですか。
ボストンテリア(いぬ)。:一九票
ふくろう(夜型)。   :二一票
いるか(のうてんき)。 : 六票
ペンギン(飛べない)。 : 九票
パンダ(偏食ぎみ)。  :一九票
その他         :一七票
 これはどれが一位、というのにはあんまり意味はなくて、犬とフクロウとパンダがほぼ同点だった、というほどのことでしょうね。ここから何がわかるのか、というと「ははあ、フクロウか」という以上の、あまり大した意味があるわけではないのですが、えーと、「その他」はこんな感じでした。

イエティ(もわもわ)。
からす(ハンガーで巣を作る)
クマ
コビトカバ(茄子のように穏やかに寝ころんでいる)
シマウマ
ダンデライオン(名前が…)。
ネコ(おもしろい)
バナナワニ
ペンギン(アルビノ)
メンルーサ(白身魚)
ヤマピカリャー(西表)
らくだ(←色が)
温州みかん
青い (ミニトトロ)
説明家

猫(めがねをかけた)。
猫。

 なーるほどそうか(と言いながらも、何かがわかっているわけではない)。

●歯磨きはどのくらいの頻度で行っていますか。
毎日朝晩                 :四七票
朝だけだがほぼ毎日            :一六票
寝る前だけだがほぼ毎日          :一八票
二日に一回くらい             : 六票
他人と会う前だけ             : 二票
歯磨きというのはいったいなんのことですか。: 五票
 これは正直言って驚きました。ちょうど半数が毎日毎晩。みんな歯磨きしてるんですね。私は、夜はたいてい毎日、でも朝はほとんど磨きません。その揚げ句に、今また歯医者通いを始めておりまして、毎週痛いいたい思いをしております。なんかこう「磨かなくても虫歯にならない薬」なんてのができないかなあ。


 というわけで、以上です。長々のお付き合い、ありがとうございました。これからも性懲りもなく同様の企画を行うと思うのですが、どうかお見限りなく、これからも大西科学をどうぞよろしくお願いいたします。


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